令和7年度研究課題

職員による研究調査

4K映像の制作編集技術

 中小企業が使用できる、4K映像の撮影と編集技術について、簡易的なものから放送やプレゼンで使用できる業務活用レベルまで、制作技術やソフトウェア、撮影機材について実証研究をおこなう。
(企画連携課 デザイン情報係)

ものづくり企業におけるインハウスデザイナーの役割の変化の調査

 日本のものづくり企業における社内デザイン組織は 70 年以上の歴史があるにもかかわらず、未だにその役割は限定的である。インハウスデザイナー(社内デザイナー)が活躍しやすい環境を整えるための一助となるよう、日経デザイン等の雑誌の内容の変遷や、企業インタビューを通して、インハウスデザイナーの役割の変遷を調査する。
(企画連携課 デザイン情報係)

3D スキャナと X 線 CT を複合した 3D モデルの作成について

 近年、図面が無い部品などから、3D モデルを作成する需要が高まっており、3D スキャナや X 線 CT が用いられている。しかし、3D スキャナでは取得できない鋭角や奥まった形状がある、X 線 CT ではアーテイファクトが入る、撮像できない大きさであるなど、それぞれ不得意な部分がある。そこで、大まかな形状は 3D スキャナで取得し、内部構造や細かい部分は X 線 CT で撮像し、合成するという手法を検討する。
(基盤技術課 設計計測係)

環境負荷低減を目指した樹脂めっきのエッチング処理工程の検討

 樹脂めっきのエッチング処理工程では、これまでCrO₃/H₂SO₄酸溶液が使用されているが、環境問題から六価クロムの使用規制が進んでいる。過酸化水素は、その酸化力からABSをはじめとした樹脂のエッチングに利用できる可能性があり、金属を含まない分、廃棄が容易であることから、これを樹脂への「めっき」工程に活用できないか、濃度・温度・時間などの条件を設定して検討を行う。
(応用技術課 表面構造係)

π電子共役高分子化合物の合成とその機能評価

 塗料や接着材料など有機コーティングと母材表面との相互作用を直接評価するセンサ素子の開発に向けて、π電子共役高分子の機能を利用し、物体界面の非共有結合的な相互作用に伴う力の強さを評価する簡便な方法の開発を目指す。今年度は主として合成メソッドの確立に取り組む。
(応用技術課 表面構造係)

ガスクラスターイオンビームを用いた有機膜の深さ方向分析の検討

 光電子分光分析装置(XPS)のガスクラスターイオンビーム(GCIB)によるエッチングはイオン銃と比べ、有機試料に大きなダメージを与えることがなく、深さ方向分析ができる。そこで、有機膜について、GCIB によるスパッタを行い、深さ方向分析の挙動を確認する。
(応用技術課 表面構造係) (基盤技術課 材料評価係) 

3 次元デジタルデータの物体検出に関する検討

 3次元センサーの性能向上に伴い3次元デジタルデータの活用が盛んになっている。今回、取得した点群データから指定した部品検出についての検証を行い、有用性・実装の難易度など検討する。
(中丹技術支援室)

企業等との共同研究

藻類由来金属マイクロコイルを分散したテラヘルツ帯電磁波応答材料の開発

 天然藻類であるスピルリナをバイオテンプレートとして用いたマイクロコイルはテラヘルツ帯において電磁波に対する優れた応答性を有し、この特性を利用して次世代通信の電磁波吸収材料としての応用に向けた研究を実施する。
(基盤技術課 材料評価係)

テラヘルツ波を用いた新規う蝕診断技術の開発

 テラヘルツ波の高い透過性を利用して非侵襲性の新規う蝕診断技術を開発する。

(基盤技術課 材料評価係)

テラヘルツとヴァテライトを用いた水没検知の研究

 炭酸カルシウムの一種であるヴァテライトを接着剤に混合し、水との接触に伴う結晶転移を用いて水没検知マーカーとして利用する取り組みを進めている。合成して得られたヴァテライトは数μm 程度の粒径となっているが、さらに微粒化することにより水没検出能を向上し得ることが期待できる。そこで本研究では、種々のパラメータのもとでヴァテライトを粉砕し、その粒径と水没検出能の関係について検討する。
(基盤技術課 材料評価係)

ガラス表面上の欠陥の識別システムの検討

 光学材料等に使用されるガラスについて、加工時において発生する表面上の微小な傷や孔などの欠陥を職人による目視検査で進めている事例がある。ただ検査対象の中には基板など平板形状であるが数量が多いものもあり、人的リソースを要する課題がある。本研究ではこのような簡易構造(平板)を対象とし、欠陥の鑑別を自動に行う補助システムの開発について検討を進める。
(応用技術課 電気通信係 企画連携課 デザイン情報係)

アルミナ放熱素子の性能評価及び設計環境構築に関する研究

 電子回路基板には回路や電子部品の保持に加え、使用時に発生する熱の放出機能が求められる。特に大電力を取り扱うパワーエレクトロニクス分野では放熱性能が重要となる。本研究ではアルミナ放熱素子の熱伝導率・放射率等の性能を評価し、放熱素子の開発・設計のための放熱シミュレーションを試みる。
(応用技術課 電気通信係)

乳酸菌が生産する菌対外多糖(EPS)の化学的性状

 府内中小企業が保有する各種乳酸菌株を用いた乳酸発酵による乳酸菌飲料の試作を行い、菌株や培地組成の違いによる EPS の生産性を比較する。また、高速液体クロマトグラフや LC-TOF/MS 等の機器を用いた分子量や糖組成等の分析を行い、得られたEPS の化学的性状を比較する。
(応用技術課 食品バイオ係)

京都府産品からの有用短鎖脂肪酸産生菌の探索

 近年、腸内細菌代謝産物である短鎖脂肪酸の重要性が示唆されており、短鎖脂肪酸産生菌を直接摂取するプロバイオティクスによる機能性食品の開発が期待される。そこで短鎖脂肪酸を含有する京都府産品に着眼し、短鎖脂肪酸産生菌の単離を試みる。
(応用技術課 食品バイオ係)

タッピンねじのゆるみ挙動解析について

 タッピンねじ(3 種、CTITE)の温度変化によるゆるみ特性をシミュレーションし、緩みのメカニズムを解明する。
(中丹技術支援室)