レーザーフラッシュと照射で試料に熱を与え、試料の温度上昇から熱拡散率を測定することができます。比熱及び密度から熱伝導率を計算します。(比熱、密度は別途測定が必要)

- メーカ・型式
- ネッチ・ジャパン
LFA467 - 性 能
- 温度範囲 : 室温~500℃
熱拡散率測定範囲 : 0.01×1000mm2/s
熱伝導率測定装置 : <0.1~2000W/(mK)
試料寸法 : 10×10mm(正方形),Φ10mm(丸形)
6×6mm(正方形),Φ25.4mm(丸形) - 設置年度
- 2014年度
- 担 当
- 基盤技術課 化学分析係
TEL 075-315-8633 FAX 075-315-9497
E-mail kiban@kptc.jp - 使用料(基本額)
- こちらをご覧ください
- 依頼試験手数料(基本額)
- こちらをご覧ください
- ☆よくある質問(FAQ)
-
(1)熱伝導率を測定できますか。
当センターの熱伝導率測定装置はキセノンフラッシュ法により熱「拡散」率を測定する装置です。熱伝導率を得るためには別の装置により、比熱と比重を測定していただき、計算(熱伝導率=熱拡散率×比熱×比重)により算出する必要があります。
比熱は当センターで測定する場合は示差走査熱量計を使用しますが、測定に長時間を要します。比重計は電子比重計を用いた測定になります。
また、熱拡散率用、比熱用、比重用にそれぞれサンプルの準備が必要です。詳しくはお問い合わせください。(2)サンプルが液体、粉体、ペースト状の場合でも測定できますか。
専用ホルダーがないため測定できません。
(3)断熱材のように熱伝導率の小さいサンプルは測定できますか。
測定できません。
(4)熱拡散率測定に必要なサンプルのサイズや事前準備を教えてください。
所有している試料ホルダーは以下の4種類です。
・10×10mm(正方形・4サンプルまでセット可) 4つ所有
・Φ10mm(丸形・4サンプルまでセット可) 1つ所有
・6×6mm(正方形・4サンプルまでセット可) 1つ所有
・Φ25.4mm(丸形・1サンプルのみセット可) 1つ所有
この寸法に合致するよう、誤差±0.2mm以内で試料サイズを厳格に調整していただく必要があります。試料サイズが正確でなければホルダーに正しくセットできず、隙間からキセノン光が漏れ、測定できません(当センターでは試料のサイズ調整は行っておりません)。試料厚さは材質にもよりますが0.5~2mmが最も望ましい厚さです(0.1mmまで測定できることもありますが、それよりも薄い試料は測定できません。また厚みの上限は装置の仕様上6mmまでとなります)。本装置は厚みの均一な平板固体を測定する装置になります。
また、透光性を有する試料の場合、完全に遮光されるよう予め白金等による金属薄膜(厚さ100nm程度)の蒸着が必要です(蒸着も当センターでは行っておりません)。カーボンスプレーによる一面黒化処理は測定誤差が大きくなるため遮光手段としては推奨されておりません。
試料が黒くない場合は、カーボンスプレーによる黒化処理を行います。カーボンスプレーは当センターにあります。(5)熱拡散率の測定時間はどれくらいかかりますか。
1温度帯・3回照射の場合、1サンプル約5分かかります。高温測定の場合、詳しくは(6)で後述します。
他に試料の厚み測定、スプレーによる黒化処理、測定条件設定、解析等の時間が必要です。(試料数にもよります)(6)高温測定に要する時間はどれくらいですか。
・高温測定の場合、昇温→測定→昇温→測定・・・の繰り返しになりますので、データがほしい温度数が多くなると所要時間が長くなります。そのほか昇温に係る時間も必要です。
・温度上昇速度はデフォルトでは100℃/20minです。室温から500℃まで100℃刻みで測定する場合は温度遷移時間だけで100分(1時間40分)かかります。
・200℃を超える場合はアルゴンガスが必要となります(当センターにあります)。
・通常の測定では1サンプル3回測定がデフォルトとなっていますが、200℃を超える場合は最初の1~2回目の測定値が安定しないことがあるため、n=5で測定することを推奨しています。
・目安として1サンプルのみの場合でも最低3時間、4サンプルの場合最低5時間かかります。
・とくにφ10mm、6×6mm,Φ25.4mmのホルダーはそれぞれ1個しかないため、5個以上(Φ25.4mmの場合は2個以上)のサンプルを測定する場合は2回に分けて測定する必要があります。ただし、500℃から室温に戻すには1時間以上かかるため(150℃までは比較的短時間で下がりますが、そこから室温に戻すには(サファイア窓をオープンにしても)かなり時間がかかります。150℃以下にならないとサンプルを取り出すことができないので、その分も含めて時間に余裕を持たせる必要があります)、日を分けて測定する方が安全です。
参考情報
- 熱伝導率測定装置のご紹介 -放熱用材料や断熱用材料の熱物性評価にご利用ください-(『クリエイティブ京都M&T』2021年1月号)
- 個体材料分析フローチャート(『クリエイティブ京都M&T』2019年1月号)