「中丹商品開発部」ハンドプレス機をユニバーサルデザインに![令和元年11月]

 中丹商品開発部では既製品の改良から新商品の開発まで、デジタルツールの活用、異業種間の連携を促進するために検討会を毎月開催しています。検討会では、企業が抱えている技術課題を発表していただき、その内容について、様々な業種の人からの意見や助言を得て、設計・試作から製品化を行う流れとなっています。
 実際の事例をご紹介します。

 

ハンドプレス機をユニバーサルデザインに!

技術課題の持ち込み

 ある日の定例会、皮革製品の製造・販売を行う司工業株式会社から、ハンドプレス機を改良できないかとの、課題発表がなされました。
 革製品のボタン(はとめ)の取り付け作業を行ってもらっている足の不自由な人から、「既存ハンドプレス機は非常に使いにくく、作業効率が上がらない」との声が出ているとのこと。既存のハンドプレス機を改良し、使いやすく作業性を向上させたいというものでした。

 

現地調査による確認

 早速現地を訪問し、実際に行われている作業内容を確認。作業をされている方の動作や環境などを観察した結果、次のことが分かりました。
・ハンドプレス機を使う作業は、手前にボタンと革を置き、奥にあるアームを下に強く押すことで金属がカシメられてボタンが取り付けられる。
・既存品ではアームの力点が遠く、作業する際に大きな動作が必要となる。
・カシメの最後には大きな力が必要で体重を載せることになり、飛び乗るような動作が必要になっている。

 

縮小モデルによる検討

 ハンドプレス機を一時的に預かって当センターに持ち帰り、3Dスキャンを行い、3Dプリンタで実際に可動する縮小モデルを製作しました。このモデルで実際の動きを確認しながら、どこに問題があるか、どのように改良を行うべきかなどを意見交換し、検討を重ねました。

3Dプリンタで製作した縮小モデル

様々な分野の会員企業と当センター職員が知恵を出し合う定例会

 

改良型ハンドプレス機が完成

 既存のハンドプレス機に、新たに支点とアームを設けて力点の位置を変更し、座ったままで作業できるようにして作業性を向上。また軽い力で 簡単にカシメられるようにアーム長さを変更しました。
 こうして完成した改良型ハンドプレス機を、実際に使ってもらうと、作業者の方から「少ない力で打てるし、音も静かになった」と笑みがこぼれました。

完成した改良型ハンドプレス機(右)

 

中丹商品開発部では、企業からの開発のご相談をお待ちしています。

デジタルマニファクチャリング研究会

 

本記事は、情報誌「クリエイティブ京都M&T」2019年11月号にも掲載しています。

 

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京都府中小企業技術センター 中丹技術支援室
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