【結果報告】第26回交流会『防災研究所』

 平成29年11月28日(火)、京都大学防災研究所連携研究棟3階大セミナー室において産学交流会を開催したところ54名(1部講演会)の方が参加され、熱心に聴講いただきました。

 京都大学防災研究所竹林洋史准教授より「土砂災害はどこまで予測可能か?」というテーマで、また、榎本剛准教授より「スーパーコンピューターを用いた気象の予測」というテーマでご講演いただきました。

 また、産学連携の実例として、日本気象株式会社様から「データサイエンス分野における気象データの利活用」というテーマで数値天気予報の仕組みについて解説いただきました。

 また、会員企業の事例紹介では、京都大学生宇治キャンパス産学交流企業連絡会幹事の株式会社山岡製作所様から「株式会社山岡製作所の人材育成の取り組み」というテーマで近年深刻化している企業における人材確保と育成に関し、ヒューマンリソースを「人財」と考える同社の特色ある人材育成の取り組みについて説明いただきました。

 その後、防災研究所のスタッフの案内で防災研究所の防災ミュージアムと境界層風洞実験室を視察させていただきました。

場所をかえ、懇親交流会においても、今回は、気象関係機関やデータ情報系企業の方など新たな参加者も迎え、熱心な情報交換、意見交換が行われました。

 

第1部 講演会

≪1.研究シーズ発表≫
土砂災害はどこまで予測可能か?
   京都大学防災研究所 竹林 洋史 准教授

 近年頻発している主に豪雨による土砂災害について、従来の土壌雨量指数等を用いた危険度の判定から、新たに地形の最大傾斜角、土砂災害危険箇所情報、XRAINなど複数の指標を組み合わせた土砂災害危険度判定法を独自に開発し、予測精度が飛躍的に向上しました。
また、2014年に広島で発生した土石流の数値シュミレーションや土砂の流動解析により特に土砂災害において減災のポイントとなる早期予測と避難行動につながる対策についても説明いただきました。

 

『スーパーコンピューターを用いた気象の予測』  
  京都大学防災研究所 榎本 剛 准教授

 近年のスーパーコンピューターの発展による、天気予報の精度の向上にはめざましいものがあります。気候変動の基本的な仕組みと数値天気予報の歴史、数値天気予報の計算メカニズムなどを解りやすく解説いただきました。
特に、夏の高気圧による猛暑の現象と気象予測について数値天気予報の仕組みを使い具体的に例を挙げながら解説いただきました。

                                                   

 

≪2.産学連携の事例紹介≫
『データサイエンス分野における気象データの利活用』
  日本気象株式会社 サイエンスビジネス課 課長代理 櫻井 渓太哉 氏
 

                                                                         

≪3.会員企業紹介≫

『株式会社 山岡製作所の人材育成の取り組み』
     株式会社山岡製作所 代表取締役会長 山岡 祥二 氏

 

≪3.施設見学≫

 京都大学防災研究所内の防災ミュージアム見学と境界層風洞実験室での暴風体験

 


【防災ミュージアム】

 


【境界層風洞実験室】

 

☆ 参加者の声 ☆

  • 防災研究所での土砂、気象の最新研究内容に触れることが出来た。
  • 気象データの活用法がわかってよかった。
  • 山岡製作所の人材育成の仕組みが参考になった。
  • 防災研での災害予測、天気予測等への研究アプローチ、データサイエンス動向、技術情報を知ることができ、非常に有益な交流会だった。
  • 適度な時間で、詳細/具体的な点が知れた。
  • 研究シーズの発表はかなりレベルの高い内容であったが、スパコンの活用等がよく理解できた。
  • 関連企業紹介は気象データの利活用は短期間でいろいろなサービス展開をおこなっており、感心した。
  • 最近のトレンドを聞けてよかった。
 【事務局コメント】

 第26回の産学交流会は防災研究所との交流会です。今回は、竹林先生から近年多発している土砂災害についてと榎本先生からスーパーコンピューターを用いた数値天気予報について最新の研究動向等を発表いただきました。

 主に豪雨による土砂災害は、予測が難しく、自治体の避難勧告や指示を出すタイミングが難しい課題があります。降雨量や土壌雨量指数で行っていた従前の手法に加え、地形の傾斜角や土砂災害危険箇所情報、XRAINデータを用いた新たな「土砂災害危険度判定法」の開発や広島での土砂災害被害の検証から土砂災害の解析と対策について有意義な情報を示唆いただきました。

 また、もう一つのテーマである「スーパーコンピューターを用いた気象の予測」では、スーパーコンピューターの発展にともない精度が大幅に向上した数値天気予報についてその歴史と猛暑の例による気象のメカニズム、数値天気予報の計算の仕組みなどについて解りやすく解説いただきました。

 企業からの連携事例発表では、日本気象株式会社様からデータサイエンス分野における気象のビックデータの解析と活用について、天気予報が様々なビジネスにつながる可能性を発表いただきました。

 会員企業発表では、京大宇治キャンパス産学交流企業連絡会幹事の山岡製作所様から近年中小企業の大きな課題となっている人材育成について特色のある取り組みを紹介いただきました。

 年末近くの大変忙しい時期にもかかわらず様々な分野から多くの方に参加いただき、産学交流会も盛況のうちに終了いたしました。参加者アンケート結果からも土砂災害、気象などのテーマについて最新の研究を解りやすく理解できたとの好意的なコメントが多く見られました。(大変満足したと概ね満足したを合わせると96.2%となっています。)

 2部交流懇親会においても大学、企業、支援機関、行政など様々な分野から約30名の方に御参加いただき、熱心な情報交換や意見交換が行われ充実した交流会となりました。今後も、当産学交流会を一層充実したものにするよう取り組んで参りますので、皆様からも御意見等をいただければ幸いです。

 なお、次回、化学研究所との産学交流会を年明けの平成30年2月28日(水)に開催いたします。逐次ホームページ等でお知らせしますので、是非皆様の多数の御参加をお待ちしております。

 

問合せ先は、
京都府中小企業技術センター けいはんな分室
 TEL 0774-95-5050 FAX 0774-66-7546
E-mail keihanna@mtc.pref.kyoto.lg.jp