【結果報告】第20回京都大学宇治キャンパス産学交流会『エネルギー理工学研究所』

 平成28年6月29日(水)、宇治おうばくプラザセミナー室4、5において産学交流会を開催したところ49名の方に御参加いただきました。(1部講演会)。
 京都大学エネルギー理工学研究所より「産官学連携によるエネルギー基盤構造材料の研究開発」、「低品位な褐炭や稲わらを炭素繊維やバイオ燃料に!」と題して、それぞれ、エネルギーの活用効率を高めるための最新の基盤材料の開発状況やエネルギー源として有効活用されていない褐炭や稲わらなどの活用技術の開発(国際協力事業として実施)などの取組についてご講演いただきました。
 また、産学連携の実例として、エネルギー理工学研究所と連携した、株式会社SCREENファインテックソリューションズ様が「LIAスパッタアルミナ膜の太陽電池への応用評価」と題して、京都大学と連携し、製品化への課題等への対応を行った事例について発表していただきました。
 また、会員企業の事例紹介では、プラスコート株式会社様より、「京大COI有機薄膜太陽電池の量産化計画」について京都大学と企業との共同研究による成果や課題について発表していただきました。
 その後、プラズマ実験装置ヘリオトロンJ等を見学し、懇親交流会場においても、大学、企業、行政関係者など、異なる分野の方々による熱心な情報交換、意見交換が行われました。

 

概要 第1部 講演会

≪1.研究シーズ発表≫

『産官学連携によるエネルギー基盤構造材料の研究開発』       
  京都大学エネルギー理工学研究所 木村 晃彦 教授 

 東日本大震災以後、原子力発電が順次停止され、エネルギー自給率が大幅に低下、原子力発電等の安全性を高めるとともに、化石燃料等のエネルギー効率を高めることは喫緊の課題です。
 そのためにも、高温に耐え、錆に強く、放射線への耐性も強い耐久性の高い材料開発は、エネルギーの安定確保や安全性の確保にとって必要不可欠なものとなります。
 今回の木村先生の講演では、発電施設等で使用する基盤材料として注目されているスーパーODS鋼や、ネオジム磁石などの素材について産官学が連携した開発の取り組みについてわかりやすく解説いただきました。実用化すれば、エネルギー事情の飛躍的な改善が期待されます。

 

『低品位な褐炭や稲わらを炭素繊維やバイオ燃料に!」   
 京都大学エネルギー理工学研究所 三浦 孝一 特任教授

 石炭は、石油に次ぐ化石燃料として、世界の1次エネルギー消費の25%占めています。ただ、世界中で採掘される石炭中の大半が低品質の褐炭と呼ばれる石炭です。三浦先生は、この低品質な褐炭や稲わらなどを溶剤を使い、良品の石炭と同様の物質に変えるプロジェクトについてわかりやすく御紹介いただきました。
日本の持つ環境への負荷が少ない火力発電技術と相まって今後のエネルギー資源としての石炭等の利用可能性を高めるという大変興味深い講演でした。

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  【木村先生の講演】              【三浦先生の講演】                

≪2.産学連携の事例紹介≫

 『LIAスパッタアルミナ膜の太陽電池への応用評価』
  ㈱SCREENファインテックソリューションズ
     成膜応用ビジネス部ドライ成膜  技術課 主事 大澤 篤史 氏  

≪3.会員企業紹介≫

 『京大COI有機薄膜太陽電池の量産化研究』      
  プラスコート㈱ クリエイティブ事業部 開発部長 田邊 雅永 氏 

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<熱心に聞き入る参加者のみなさん>                     
 当日、50席を準備しましたが、ほぼ満席状態となり、熱心に聴講され、質問も多く寄せられました。

≪4.施設見学≫ 

京都大学が独自に開発し、核融合を目指した、プラズマ実験装置、「ヘリオトロンJ」   
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班に分かれて、北4号棟にあるプラズマ発生装置、ヘリオトロンJなどを見学していただきました。熱のこもった発表などもあり、講演会の予定時間をオーバーしてしまい見学が駆け足となってしまい申し訳ありませんでした。

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【参加者の声】

・いずれの講演も非常に興味深かった。
・OPVの話が聞けた。
・メニューが幅広いので、ポイントを絞った方が良いと思う。
・京都大学エネルギー理工学研究所の概要がわかった。
・スーパーODS鋼の話が聞けて良かった。
・石炭とプラスコートさんの話が面白かった。
・技術面で非常に新鮮さが感じられた。
・プラスコート様の発表が良かった。
・情報を多く頂けたが、わからない用語が多かった。
・石炭等、自社の他分野の情報が勉強できたことが良かった。
・関連の深いテーマであった。

 

 【事務局コメント】

 今回で20回目を迎えた京都大学宇治キャンパス産学交流会ですが、新たな会員企業様にも参加いただき盛況のうちに終了いたしました。今回の研究シーズの発表は、木村先生のエネルギー開発や利用にとって不可欠の材料開発や三浦先生の品質の劣る石炭や稲わらなどをバイオ燃料に活用する研究発表は次世代のエネルギーを考える上で非常に示唆に富んだ内容でした。
 また、企業様事例発表や会員企業様紹介も、今後の産学連携を進める上でメリットや課題は何かを知る上で大いに参考になるものでした。
 精力的な発表や活発な質疑応答もあり、ヘリオトロンJなどの貴重な施設見学の時間が十分とれなかったことが今回の反省材料です。 

2部交流懇親会でも37名の方が御参加いただき、熱心な情報交換や意見交換が行われ、20回目の節目となる産学交流会として充実した会となりました。今年度も、当産学交流会を一層充実したものにするよう取り組んで参りますので、皆様からも御意見等をいただければ幸いです。
 なお、次回の交流会は生存圏研究所の研究紹介で、9月中旬頃を目途に開催できるよう準備をしています。詳細が決まり次第ホームページ等でお知らせしますので、是非皆様の多数の御参加をお待ちしております。

 

問合せ先は、
京都府中小企業技術センター けいはんな分室
 TEL 0774 -95-5050 FAX 0774-66-7546
E-mail keihanna@mtc.pref.kyoto.lg.jp