【結果報告】第17回交流会『生存圏研究所』

 平成27年9月16日(水)、宇治おうばくプラザセミナー室4,5において産学交流会を開催し、41名の参加者がありました(1部講演会)。

 京都大学生存圏研究所より「木質材料の流動成形による複雑3次元加工の実現」「レーザー分光法を用いた微量物質の超高感度分析技術」と題して、それぞれご講演をいただきました。

 また、産学連携の実例として、シャチハタ㈱様が「木質系バイオマスの工業的利用」について、チヨダ工業㈱様が「木質系材料の流動成形技術の音響部品への展開」について発表していただきました。

 会員紹介では、㈱丹宇様より、「木質の風合いを保つ高耐久保護剤の開発・販売」について発表いただきました。

 その後、講演者に持参いただいた製品を見学し、懇親交流会場においては、参加者同士や京大関係者の方に商品や技術に関して質問したり、和やかな雰囲気の中で懇談をしていただくことができました。

第1部 講演会

≪1.研究シーズ発表≫
『木質材料の流動成形による複雑3次元加工の実現』
   京都大学生存圏研究所 教授 金山 公三氏
kyouji17-1 木質系材料の利用は、地球温暖化対策とともに埋蔵資源枯渇対策としても有効ですが、利用量が少ないのが現状です。最近、自動車や家電部品などへの木質材料の利用が検討され始めており、その際にキーテクノロジーとなる可能性をもつ「木材の変形加工」について紹介していただきました。
 従来の「切る」「削る」「接着する」「曲げる」等の加工とは全く異なり、世界初の「木材の流動現象」を応用して塊状の木材から複雑3次元形状製品をプレスで成形する技術になります。
『レーザー分光法を用いた微量物質の超高感度分析技術』
   京都大学生存圏研究所 准教授 高橋 けんし氏
kyouji17-2 物質の状態を問わず、ごく微量な物質を短時間で高精度に計測する技術は、アカデミックな基礎研究から実社会における実際の応用まで、幅広い分野で必要とされています。講演では、光を用いた物質計測、とりわけ、レーザー分光法を用いて気体やエアロゾルの化学成分や濃度を計測する技術について、最先端の実例を交えながらご紹介いただきました。

 

≪2.産学連携の事例紹介≫
kyouji17-3  『竹および杉由来の木質系材料製品化事例 
    -木質系バイオマスの工業的利用への挑戦-』
      シャチハタ株式会社 新規事業部 部長 牧野 智成氏

 

 

 

 

kyouji17-4  『木質系材料の流動成形技術の音響部品への展開
    -スピーカー作製を中心として-』
      チヨダ工業株式会社 設計 山田 哲也氏

 

 

 

≪3.会員企業紹介≫
kyouji17-5『木質の風合いを保つ高耐久保護剤の開発・販売』
   株式会社丹宇 代表取締役社長 伊藤 博氏

 

 

 

     

 

≪4.製品見学≫

 講演者に持参いただいた製品を間近で見ることができました。スピーカーの音質や物の手触りなどを実際に感じることができ、興味深いものでした。

 

第2部 交流懇親会

会 場 : レストランきはだ

 

☆ 受講者の声 ☆

  • 木材の流動成形の発表は特に興味深く、新たな商品、事業につながる可能性を感じた。
  • 無料で様々な内容が聞けて勉強になった。
  • 木材利用の基礎、応用例が大変よく理解できた。
  • 木材の形成が興味深く、目からうろこであった。
  • 竹を使った開発品があるのを初めて知った。
  • 木材の重要性を再確認した。流動成形の実用化に期待したい。
  • 木という見慣れた材料が新技術として開発されていることに感銘を受けた。
  • エボキシ樹脂での成形は経験があるが、木材に流動性があり成形できることに感動した。
  • 難しい内容を事例を交えて説明していただいたので良かった。
  • 木材の流動加工について興味があったため。
  • 木材をプレス成形するというこれまでの常識では信じられない技術を知ることができた。
  • 専門的でわかりにくい部分もあった。
 【事務局コメント】

 今回の京都大学宇治キャンパス産学交流会は、生存圏研究所にお世話になりました。

 同研究所での取り組みは宇宙空間から私たちの日常の生活圏まで、人の活動領域における様々な資源の活用・開発、分析・計測を通じて、将来の地球環境問題の解決への糸口を探っておられます。

 ものづくり企業も地球環境への負荷の低い材料や成分を活用した取り組みが注目されており、地球と人にやさしい技術革新が必要となっています。

 今回、循環型資源である木材が加圧など一定の条件下で流動化するという性質を応用して成形する技術が紹介されました。イメージしにくかったのですが、先生の話を聞き、実際の製品を手に取り、竹からできたスピーカーからの音を聞くとこの技術のすごさがわかりました。何事も「百聞は一見に・・・」とつくづく。

 次回の交流会は12月の開催を予定しています。年末ではありますが、詳細が固まり次第お知らせしますので、ぜひ参加ください。

 

問合せ先は、
京都府中小企業技術センター けいはんな分室
 TEL 0774 -95-5050 FAX 0774-66-7546
E-mail keihanna@mtc.pref.kyoto.lg.jp