接合技術を活用した電気自動車用バッテリー部材の開発 (ニチダイフィルタ株式会社)

ニチダイフィルタ株式会社

接合技術を活用した
電気自動車用バッテリー部材の開発

 どのような経緯でセンターを利用しましたか?

 当社は、積層焼結技術により複数のステンレス金網を焼結した積層焼結フィルターの開発・製造を行っています。積層焼結フィルターは、各層の金網によって網目が互いに交錯するため、ろ孔の形状が微細で均一なろ過構造を形成してます。耐熱・耐圧・耐酸化性に優れ、用途は多岐にわたっており、航空宇宙分野では国産ロケットのエンジン部への異物混入を防ぐフィルターなどに利用されています。
 積層焼結技術によって一体構造化した接合部の評価は、これまで人の感覚による判断も多く、接合強度や耐久性などの評価が難しいことが課題でした。そこで、接合部の客観的な評価手法を確立するために京都府中小企業技術センターに相談しました。

【 拡散接合前 】

【 拡散接合後 】

 研究開発の内容はどのようなものですか?

 積層焼結技術を活用して電気自動車用バッテリー部材の開発にも取り組んでいます。電池の電極と外部の電気回路をつなぐ役割を担うタブは溶接などによりセルに接合されていますが、従来のタブでは発熱等で大電流化への課題となっています。そこで当社では高速充放電可能な「ハイブリッドタブ」を開発しています。ハイブリッドタブは、NiプレートとバスバーとなるNiめっきを施したCuを焼結技術により1枚ものにしバスバー付きタブにすることで解決しました。金属などの無機系材料はミクロン単位の結晶粒の集合体でできており、結晶粒の大きさや向きは材料の強度などの性質に影響します。それらの測定が可能なEBSD法(電子線後方散乱回折法)で接合部を評価しました。
 EBSD法の測定深さは数十nmと非常に浅く、試料の表面状態の影響を大きく受けるため、測定が難しい接合材料もありましたが、材料の種類に応じた前処理条件について提案を受けるなど、センターと共同で解決していくことで新しい知見を得ることができました。

 

 

ニチダイフィルタ株式会社

所  在  地  宇治田原町

事業内容  高機能・高信頼性の積層焼結金網フィルターの開発・設計・製造

ウェブサイト  https://nichidaifilter.co.jp/company/profile/

 

※ 「接合技術を活用した電気自動車用バッテリー部材の開発 (ニチダイフィルタ株式会社)」pdf資料は、こちら