第1回 2016年10月28日(金) 13:30~17:00 |
内容 |
「X線顕微鏡の最前線」
大阪大学大学院工学研究科 精密科学・応用物理学専攻 松山 智至 氏
X線顕微鏡は、可視光顕微鏡よりも高い空間分解能が実現でき、電子顕微鏡では
見ることのできない特殊環境下(水中・ガス中)や厚い試料の内部を見ることが
できます。しかし、光学素子作製の難易度があまりに高く、その実現が困難でした。
当該グループでは、形状誤差1nmの超高精度X線ミラーの開発に成功し、この問
題の多くを解決しました。これまで開発した走査型、結像型、レンズレス型の3
種類のX線顕微鏡を紹介し、現状で何が見えて、将来どこまで発展するのかにつ
いて説明します。
|
「放射光イメージングを用いた加齢と共に変化する毛髪内構造評価とその対策」
株式会社ミルボン 中央研究所 伊藤 廉 氏
高齢化が進む日本社会において、エイジングの研究進展が望まれる一方で、日本
人女性の加齢に伴う毛髪変化に関する情報は、非常に少ないのが現状です。この
ような中、該社はX線CT(SPring-8/BL24XU)や赤外顕微鏡(SPring-8/BL43IR)
を横断的に利用した放射光イメージングによって、毛髪内に起こる様々な変化を
捉えています。本講演では、その変化と製品開発に応用した事例を紹介します。
|
意見交換 |
第2回 2017年3月3日(金) 13:30~17:00 |
内容 |
「バイオミメティクスと分析評価技術」
株式会社島津製作所 分析計測事業部 西埜 誠 氏
生物が備えもつ特殊な機能を模倣して新たな素材開発を目指すバイオミメティクス
「生物模倣技術」が注目されています。生物の特殊な機能の解明や新たに開発され
た人工素材の性能評価には、各種の分析評価装置が必要とされます。本講演では、
「生物規範工学」の研究者によって提供された生物・生物模倣素材を対象として、マ
イクロフォーカスX線CT、走査型プローブ顕微鏡、質量顕微鏡、分光光度計などを用
いて、その特性を評価した例をご紹介します。
|
「バイオミメティクス研究とNanoSuit®」
浜松医科大学 総合人間科学講座 生物学部門 教授 針山 孝彦 氏
「生物を規範とした”ものづくり”」であるバイオミメティクス研究は、次世代の産業
を構築し、サステイナブル世界の実現に繋がります。生物の微細構造を高分解能で観
察するには電子顕微鏡が最適な機器ですが、生物を電子顕微鏡の高真空環境に曝すと,
体内のガスや液体が奪われ、体型だけでなく微細構造も大きく変形してしまいます。
私達はNanoSuit®法を開発し、生きたままの生物を電子顕微鏡で観察することに成功
しました。本講演では、バイオミメティクス研究の必要性と、新規な”ものづくり”へ
の足がかりとしてのNanoSuit®法技術の紹介をいたします。
|
意見交換 |