【結果報告】けいはんな若手技術者・研究者交流会~平成29年度けいはんな技術交流会Ⅱ~

 京都府中小企業技術センターけいはんな分室では、最先端の技術動向や研究シーズと企業のニーズを産学公の様々な立場の方がともに共有するプラットフォームとして技術交流会をけいはんな地域で開催しています。今回、今年度2回目となるけいはんな技術交流会Ⅱは、京阪神次世代グローバル研究リーダー育成コンソーシアム(K-CONNEX)の全面的な御協力により、また、奈良先端科学技術大学院大学等と連携し、新たな出会いの場や異分野の情報交換の場づくりのイベントとして平成30年3月2日(金)学研都市にある、KICK で開催いたしました。
 京都大学高等研究院物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)の特定拠点准教授亀井謙一郎氏をお招きし、企業研究所や技術開発担当部門の技術者や研究者、大学や当センターの若手技術職員など35名の方に参加いただき、活発な意見交換、情報交換が行われました。

1 講演

『ボディ・オン・チップ: マイクロ・ナノ工学による「ヒト」モデルの開発とその展望』

 京都大学 高等研究院 物質−細胞統合システム拠点(iCeMS)
          特定拠点准教授/PI 亀井 謙一郎 氏

 

 亀井先生は、生体外ヒトモデル「ボディ・オン・チップ」の開発に成功され、体内血液循環を再現するデバイス(チップ)を世界ではじめて創られたこの分野の第一人者です。
 講演では、亀井先生から、マイクロナノ工学を駆使し、生体外の生体循環環境(モデル)を人工的に創り出し、これまで細胞培養プレートなどでは再現が難しかった、抗がん剤の副作用をデバイス内で再現する「ボディ・オン・チップ」の仕組みや成果、最新の研究動向を御紹介いただきました。医学、生命工学、化学、情報工学など異なる分野を学際的に融合し、創薬の分野などにおける様々な課題解決(動物実験の世界的な減少動向や、創薬にかかる多大な時間とコストの減少など)につながる社会や産業にとってもきわめて有用な研究、技術です。
バックグラウンドが異なる異分野の若手技術者、研究者交流の導入部としては、活発な意見や疑問、質問を引き出すとても有意義で興味深いお話しでした。

 

2.若手研究者研究発表

若手研究者・研究者 研究発表等(発表順)

 交流会後半は、若手技術者・研究者から亀井先生の講演に対する感想や質問をはじめ、各技術者・研究者が取り組んでいる研究や専門分野について発表いただき活発な意見交換・情報交換、支援機関からの情報提供などが行われ、その後名刺交換などネットワークづくりが行われました。

交流会の模様

活発に質問する若手技術者

 

 

 

 

 

 

 

 

  1.  産業技術総合研究所関西センターバイオメディカル研究部門
        細胞・生体医工学研究グループグループ長七里元督氏
  2. IEEE(米国電気電子技術者協会)WIE 関西支部副支部長 崔恩瀞氏
  3. 京セラ株式会社中央研究所センサーシステム開発課 責任者 清水悦朗氏
  4.  サントリーMONOZUKURI エキスパート株式会社 安全性科学センター前田美里氏
  5. 太陽工業株式会社 技術研究所材料開発グループ 塩澤優樹氏
  6.  サンプラスチックス株式会社 技術部技術課  開発技術担当リーダー森田誠氏
  7. 株式会社ジーネス 営業部 宮越隆行氏
  8.  奈良先端科学技術大学院大学 技術専門職員 淺野間文夫氏
  9.  奈良先端科学技術大学院大学 技術専門職員 宮家和宏氏
  10.  京都府名誉友好大使( 三菱重工工作機械株式会社) アイヤルクリティカ氏
  11.  京都府中小企業技術センター 基盤技術課  副主査 佐々木勝司氏
  12.  京都府中小企業技術センター 応用技術課  主任  植村亮太氏
  13.  京都府中小企業技術センター 応用技術課  主任  鴨井督氏
  14.  ロート製薬株式会社 医薬品開発部研究員 高木敬太氏

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

支援機関等からのお知らせ(発表順)

  1. 京都リサーチパーク(株) 新ビジネス企画部シニアコーディネーター信田誠氏
  2. 奈良先端科学技術大学院大学ナノテクノロジープラットフォーム 連携マネージャー清水洋氏
  3. NEDO事業管理グループ専門調査員藤野千代氏    
     

3 後記

 アンケート結果では、「大変満足した」と「概ね満足した」を合わせると約70%の方から好意的な回答が寄せられました。
交流会のアンケートの意見の中には、異分野、異業種の方々の話を聞けたのは想像以上に面白かったなど、是非次回も続けて欲しいとの要望が複数寄せられました。

異分野、異業種の交流は、企業や大学の組織の「枠」を超え、アイデアを有機的に結合させ、新たな価値を生み出す「オープンイノベーション」環境を生み出す「仕組み」や「仕掛け」を継続することが行政として産学公連携に求められる役割であると考えております。オープンイノベーションは、近年のスタートアップブームと会わせ様々な主体から色々な取り組みが行われるようになりました。
 今回のけいはんな技術交流会は、このような状況の中で「イノベーション環境を創出する一つの試みですが、他方、「イノベーションのジレンマ」※といわれる落し穴に陥らないよう、できるだけ多様な分野や多様なバックグラウンドを持った方に集まっていただいたこと、若手や研究開発の現場で実際に活動されている方々を中心に集まっていただくなど企画を実施するに当たり注意を払いました。小規模ながら精力的なメンバー同士の「何かが生まれる」きっかけとなるミートアップイベントとなったのではないかと思います。
  けいはんな分室では、今後もこのような異分野・異業種が交流する「場」や「仕組み」を継続的に開催できるよう取り組んでいきたいと思います。

 ※ハーバード大クリステンセン教授の著書「イノベーションのジレンマ」で、破壊的技術革新が行われる場面で、既存の巨大企業が新興企業の前に力を失う理由を説明した企業経営の理論